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カリ、カリ
その時だ。
外から変な音が聞こえた。
シキ「んだよ?」
この家には俺以外誰もいない。
だが、唇は動いてしまう。
直そうとは思っていない。
独り言でも口にしないと、俺は負けてしまいそうだから。
シキ「……はっ?」
カーテンの隙間から外を見ると、茶色が爪でカリカリと窓をしていたのだ。
その傍にあの白もいた。
茶「にゃ~♪」
バチッと目が合うと、茶色は元気に鳴いた。
かと思えば白に視線を動かしていた。
すると、白がこっちへと視線を動かしてきた。
シキ「俺、怒ったのに……何で茶色がいんだよ……?」
理解が出来ずにいると、茶色は窓から離れた。
にゃーにゃー鳴き、あろうことか茶色は白に用意した餌を食べだしたのだ。
シキ「はっ!?
それは白の!
お前のじゃねぇよ、ばか!」
思わずガラッと窓を開けて叫んでしまった。
それには茶色がまたも駆け出してしまった。
あっ、またやっちまった……っ。
ハッとする俺に白がにゃーにゃー鳴きだすものの、意味がわからなかった。
どう反応していいか困っていると、白は鳴くのを止めて餌を食べだしたのだ。
俺が姿を見せているのに。
シキ「……っ!」
嬉しくて仕方ない俺はニタニタしてしまった。
それを唇を結んで隠した。
白「にゃー」
白の声に茶色がひょっこり草むらから顔を出した。
スラッとした身体を動かし、茶色はどういうわけか戻ってきた。
にゃーにゃー鳴きながら。
シキ「もしかしてお前、お腹空いてんの?」
茶「にゃー☆」
イエス、だよな?
シキ「ちょっと待ってろよ!
何か……餌入れあったか!?」
俺は慌てて駆け出した。
まさかまさかの展開だ。
怒鳴り付けてしまったのに、茶色が戻って来るなんて。
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