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ソラ「ねぇ、オイラ知ってるよ?
ミナだって気が付いてると思う。
なにも言わないで目をつぶっているのは、シキの気持ちを大事にしたいからだよ?
オイラたち知ってるから。
シキが」
続きを言われるのが嫌で俺はソラさんの声を遮った。
ソラさんを見ずに真っ直ぐ前を見て。
シキ「じゃぁ、何も言うなよ。
ずっと目つぶってればいいだろう。」
ソラさんはガシッと俺の肩を掴んできたが、俺はそれを立ち上がって思いっきり振り払った。
ソラ「シキっ!」
声を張り上げるソラさん。
一同がこっちを見てきた。
「どうかしましたか?」
シキ「……っ!
何でもありません。
体調がすぐれなくて。」
講師の許可を取り、ソラさんから逃げるようにそこを後にした。
ソラさんからの視線を感じながら。
わかってんだよ、俺だって……っ!
このままじゃダメってことぐらいは!
ダンッ!
壁を殴りつけた。
拳に来る痛みに泣きたくなってくる。
シキ「くそ……っ!」
こんなにも自分が恋に溺れるなんて思いもしなかった。
知りたくなかった。
こんな自分。
そして、嘘を吐かれた真実も。
「愛してるよ。」
頭に響き続ける偽りの声。
それに縋っていたい俺が嫌いで堪らない。
なのに……
シキ「いてぇ…よ……っ。
ばか…ぁ…っ。」
壁に手をつき、俺は身体を落としていった。
ソラ「どれだけ好きかって。」
頭に響いていた。
聞きたくなくて遮った、ソラさんの言葉の続き。
それを俺が一番わかっていた。
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