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*茶猫*
白ちゃんてば、純情だなぁ。
あの人に恋人がいるって知っただけでこれじゃ、明日が心配だよ。
お母さん?
いや、お父さん?
どっちでもいいけど、家族を取られちゃう感じなのかなー?
茶「よしっ、見に行っちゃおう!」
白「はいっ?」
ちょっと遊んだだけなのに、白ちゃんはヘナッとなっていた。
茶「白ちゃん、元気ないなぁーっ!
あの人の恋人、見に行くよ~♪」
明日までなんてね、僕には待てませんよーだ♪
白「えっ、ちょっ、ちょっと!」
ヘナッていたはずの白ちゃんが僕の前に立ちはだかった。
茶「なにー?」
白「俺は反対だから。
行ったってわかるわけないだろう。」
知りたくない言い訳じゃん。
どうせ明日わかるのにさっ!
わかんないでもないけどね☆
茶「白ちゃんはそうしたらいいじゃん☆
僕は行くけど☆」
サッと白ちゃんを避け、僕は駆けだした。
そんな僕に慌てていたが、振り返れば白ちゃんは追いかけてきていた。
そんな姿に笑い、僕は前を向いて走りだした。
まずは大学だ。
白「なぁ、ここどこ?
人ばっかりだよ。」
こんな人だかりは初めてらしく、白ちゃんはビビっていた。
茶「ここはね、勉強するところだよ。
さ~てと、探さなきゃね!」
見つかればベタベタ触られるがオチだ。
そうならないように、僕たちは物陰に隠れながら進んでいく。
白「茶々って人間のこと、詳しいよね。」
茶「だって、飼い猫だったからね。
飼い主さん、ここの大学だったんだ。
すごい偶然でビックリしちゃった☆」
サラッと過去を暴露する僕に白ちゃんはポカンとしたが、それ以上何も聞いてこなかった。
じゃぁ、何で今野良なの?
きっとそう聞きたいに違いない。
聞けなかったのは気まずくなりたくなかったからだろう。
捨てられた。
そう答えられても、白ちゃんには言葉が出ないだろうから。
そうじゃないけど、わざわざ口にする気にならなかった。
白「あっ!
茶々、隠れて!」
いきなりグイッと首根っこを口でカムッと掴まれ、僕の身体は引っ張られた。
茶「いててっ。
もう、いきなりなにするのさーっ!」
白「シーっ!
静かに!
ほらっ、いるよ。」
白ちゃんの目線を辿れば、その先には家主である恐い人がいた。
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