2.

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*ソラ* シキ「あー、うっせぇーっ! しつけぇよ、ソラさん!」 講義中は逃げられてしまったが、放課後は逃げられないようにひっつき回っていた。 ソラ「ミナに頼まれたから、仕方ないよ。 ねぇ、バイト行くの止めよう? ねぇ、バイト」 シキ「辞めない! 同じこと、何度言わせる気!?」 うっ。 そうなるオイラだが、引けない。 だが、シキがキッと睨む顔は正直怖かった。 同じ会話をずっとしながら校舎から出てきた。 だから、シキの顔にはイライラが見えていた。 シキ「あのさ、ソラさん? バイトだからって、そう簡単には辞めらんねぇの。 同じとこでバイトしてんだから、わかるだろうが!」 またも言葉が詰まった。 ギリギリの人手で回しているのは事実だから。 シキ「それにソラさんが傍で見張ってればいいじゃん。」 ソラ「オイラは売る側で、シキは中だよ? 無理だよ。」 笑うシキに勝てる気がしなかった。 シキ「大丈夫だって! 仕事しに行くだけだし、終わればソラさんとさっさと帰る。 それに、ミナの奴が連行に来そうじゃねぇ?」 はぁ。 やっぱりオイラには無理だよ。 止めらんないや。 強く言えないのには理由があった。 シキが怖いからじゃない。 怖くても、シキを想えば止める。   だけど、あの場所はシキの夢が詰まった場所だ。 シキが自らの味覚で学びたいと選んだ場所。 それを取り上げたくはない。 とはいえ、だ。 シキ「バイトに行くだけ! なっ?」 頷くしかないオイラはシキを止めることが出来ず、一緒にここの敷地を後にした。 2匹がちょこちょこついて来ていることに気が付かずに。
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