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*ソラ*
ソラ「ありがとうございました。」
そう言ってオイラはカウンターから周り、袋を女の子に渡した。
頬を赤めた女の子はペコッと頭を下げた。
最初は笑えって言われていたから頑張っていたが、お前は自然体がいいって言われてからは頑張るのは止めた。
言ってきたのは隣に立つ男だ。
通称、王子。
アイドル顔負けのキラキラした笑顔が特徴的だ。
年齢不詳で本名不明。
「ソラ!
ボッとしてないで、仕事しろ!」
ソラ「うん。」
オイラとしては仕事どころではない。
後ろが気になって仕方がない。
シキ、大丈夫かなぁ?
「すいません!」
ソラ「あっ、はい。」
この忙しさだ。
気になっている暇はない。
ガヤガヤした店内は女の子がいっぱい。
上手にさばいていかなければ、閉店ギリギリまでこの現状が続くこともあるのだから。
ここは『vanilla』という店名を持つスイーツショップだ。
メインはケーキ。
中には小さいが、イートインスペースもある。
オイラはここの持ち帰り専用売り場で売るのが主な仕事。
王子と店長はイートインスペースと掛け持ちだ。
店長が入れる珈琲、王子が入れる紅茶。
どちらも絶品だ。
そんな飲み物やケーキが目的というよりは、きっと王子や店長だ。
「あっ、今週はシキくんだね。」
女の子たちが指差したのはショーケースの中にあるとあるケーキ。
定番ケーキも必要だが、季節やニーズに合った新しい味も必要。
それがオーナーの考えらしく、毎週お試しケーキが必ず登場する。
イマイチなこともあれば、商品化になることもある。
「じゃぁ、来週がハルさんかなぁ。」
ハル。
この名前に思わず耳がピクピク反応してしまった。
ついそこにいた女の子たちを睨んでしまった。
「ソラ!」
ソラ「あっ、……ごめんね?」
謝るオイラに女の子たちはきゃーきゃー騒いでいた。
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