2.

15/19
前へ
/40ページ
次へ
*ソラ* ソラ「ありがとうございました。」 そう言ってオイラはカウンターから周り、袋を女の子に渡した。 頬を赤めた女の子はペコッと頭を下げた。 最初は笑えって言われていたから頑張っていたが、お前は自然体がいいって言われてからは頑張るのは止めた。 言ってきたのは隣に立つ男だ。 通称、王子。 アイドル顔負けのキラキラした笑顔が特徴的だ。 年齢不詳で本名不明。 「ソラ! ボッとしてないで、仕事しろ!」 ソラ「うん。」 オイラとしては仕事どころではない。 後ろが気になって仕方がない。 シキ、大丈夫かなぁ? 「すいません!」 ソラ「あっ、はい。」 この忙しさだ。 気になっている暇はない。 ガヤガヤした店内は女の子がいっぱい。 上手にさばいていかなければ、閉店ギリギリまでこの現状が続くこともあるのだから。 ここは『vanilla』という店名を持つスイーツショップだ。 メインはケーキ。 中には小さいが、イートインスペースもある。 オイラはここの持ち帰り専用売り場で売るのが主な仕事。 王子と店長はイートインスペースと掛け持ちだ。 店長が入れる珈琲、王子が入れる紅茶。 どちらも絶品だ。 そんな飲み物やケーキが目的というよりは、きっと王子や店長だ。 「あっ、今週はシキくんだね。」 女の子たちが指差したのはショーケースの中にあるとあるケーキ。 定番ケーキも必要だが、季節やニーズに合った新しい味も必要。 それがオーナーの考えらしく、毎週お試しケーキが必ず登場する。 イマイチなこともあれば、商品化になることもある。 「じゃぁ、来週がハルさんかなぁ。」 ハル。 この名前に思わず耳がピクピク反応してしまった。 ついそこにいた女の子たちを睨んでしまった。 「ソラ!」 ソラ「あっ、……ごめんね?」 謝るオイラに女の子たちはきゃーきゃー騒いでいた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加