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「あっ!」
いきなり耳に届いた声にビクッとした俺は急いで駆け出した。
「逃げないで!
全部食べてくれないと、怒られるよ!」
草むらに逃げ込んだ俺が目にしたのは家主ではなかった。
とはいっても、家主と会ったのは一度だけだが。
その人はレースのカーテンをサッと開け、スリッパを履いて家から出てきていた。
「ほらっ、早く戻っておいで?
まだ餌あるよ?」
戻れって言われて野良がひょいひょいと……
「にゃ~♪」
……はい?
俺の横をスラッとした茶色の猫が駆けて行った。
その猫はあろうことか俺の餌を食べだした。
「……茶色?
聞いてた色と違うや。
……いっかぁ!
猫が食べたって言えば怒られないしね。」
おっ、俺のですけどっ!
ひょこっと草むらから思わず顔を出すと、家主の知り合いと茶猫が俺を見てきた。
茶「ねぇ、食べる?
食べないなら、頂いちゃうよ!」
……うっ。
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