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彼と出逢ったのは雨の日だった。 ザーザー降り続く雨の中、俺は走っていた。 今日の寝床を探して。 縄張り争いを避けてきた俺は餌はもちろんだが、寝床も大変だ。 知り合いのじいさん猫に譲って貰った寝床は屋根がない。 だから、雨の日は寝床探しに1日を費やすこともある。 お腹空いたなぁ…… 匂いにつられて歩いていくとこの家を見付けた。 空腹に勝てず、何かないかと俺は足を踏み入れた。 ガシャン なっ、何だ!? 何かが割れる音が響いたかと思うと、玄関から誰かが駆け出していった。 その姿を目で追いかけ、視線を庭に動かした。 夫婦喧嘩かなぁ? ……いいけどね。 それよりも餌探さないと……っ! 空腹にヘナヘナと座り込む中、カーテンが開かれた。 逃げなきゃと思うものの、身体を動かすエネルギーは不足していて動かない。 鍵が開けられ、スリッパを履いた男が姿を見せた。 「……猫?」 どっ、どうしよう! 眉を寄せてしかめた表情で彼は俺に近付いてきた。 見下ろしながら手が伸ばされ、俺は気力を振り絞って手を動かした。 カシャッ 「……っ!」 彼の手を引っ掻いたのだ。 「いてぇっ! 何すんだよっ!」 怒らせ……えっ?  
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