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茶猫は甘えた声を出して近付いていく。
そんな茶猫に家主は固まったままだ。
顔を強張らせている家主。
そんなのお構いなしに茶猫はテラスから家の中へと足を踏み入れた。
その瞬間、家主は表情を変化させた。
家主「なっ!?
てっ、てめぇ……っ、入ってくんなっ!!!」
眉を潜めた家主の怒鳴り声。
それには茶猫が逃げ出した。
茶「ひえぇぇっ!!!
ごめんなさーいっっっ!!!」
ビクッとしてしまった俺の視界で、茶猫はテラスへと降りて駆けていく。
茶「全然優しくないじゃんっ!
もう、絶対来ないだからっ!」
そう叫んで駆けていく茶猫の姿を目で追った。
草むらへと姿を消した茶猫に優しいなんて言ってないと思った。
家主「…あ…っ。」
逃げ遅れた俺の耳に届いた小さな小さな声。
またもビクッとしてしまう俺だが、そのまま逃げていかなかった。
この人は言った。
俺に嫌われてる、と。
だからわざわざカーテンを閉めて俺の視界から姿を消した。
嫌われてると思いながらも、あの日から毎日餌を用意してくれている。
頭の中でこの人がいい人と言われたらよくわからないが、悪い人とは思えなかった。
ソラ「あーあ。
もう少し優しく言えない?
ねぇ、白猫?」
えっ、俺に同意を求められましても……
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