19386人が本棚に入れています
本棚に追加
俺が浴室から出て来ると、先に風呂を済ませていた文香が、クッションを抱いてソファーで寝ていた。
「文香…風邪ひくよ」
文香に声をかけるけれど、全く起きない。
初めて俺ん家に来た時もそうだったが、文香は一度寝るとなかなか起きない。眠りが殊の外深い。
「仕方がない眠り姫だな…フフッ」
文香の寝顔を眺めていると、自然と顔が緩む。
あどけない顔なのに、この色気あるぷっくりした唇が堪らないんだよねぇ
襲っちゃいたいけど、熟睡してるからなぁ
そんなことを考えていると
「…しょ…さ……」
文香が、寝言で俺の名を呼び、泣きそうな顔でクッションをグッと抱きしめた。
「本物の俺はこっちだよ」
俺はそう囁いて、文香の頭を撫でると、文香の表情がふっと柔らかくなった。
文香の中で、まだ、あの二日間の傷が影を落としているのかもしれない。
文香は、精神的にも体力的にも、俺と比べたら何倍もダメージを受けたはずだから…
今日はゆっくり寝かせてあげよう
そして、俺は文香を抱き上げ、寝室へと入っていった。
【本日の教訓:男の夢はとりあえず後回しで、文香を癒すべし】
・
最初のコメントを投稿しよう!