甘い一週間

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俺達は、今日から一週間、俺ん家で引きこもり生活をする。 何故なら、俺と文香の仲を裂こうと画策している奴らを出し抜くためだ。 その犯人の目星も既についている。俺の女友達の奈緒と文香の妹の綾乃ちゃんだ。 奴らのせいで、文香は精神的ショックを起こし、過呼吸の発作で何度も倒れた。 本当にろくでもないことばかりを仕掛けていて… 不覚にも、俺は綾乃ちゃんから不意打ちでキスされた場面を文香に見られた。 そして、俺を拒絶した文香。 ショック状態だったとは言え、文香の拒絶は本当に辛かった。 えもいわれぬ喪失感 生きた心地がしなかった。両親が死んだ時のように、何もかもが真っ暗になった。 文香の症状にも心が痛んだ。 文香は過去のフラッシュバックも起き、心と身体がボロボロになっていた。 胸が張り裂けるとよく言うが、文香の痛々しい姿を目の当たりにして、そんな思いを初めて実感した。 俺は悔やんだ。 自分が情けなかった。 自分が許せなかった。 奴らの罠を見抜けなかったこと。 文香を傷つけたこと。 文香を守れなかったこと。 そして、文香を失うかもしれないという恐怖と絶望 ・
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