甘い一週間

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店内をキョロキョロ探し回っていると 「あはは! ありがとうございました!」 文香が笑いながら、話す声が聞こえる。 誰と話してんだ? 「あの…お客さんのお住まいは、ご近所なんですか?」 「あたしじゃないですけど」 「は?」 「え?ご近所はあたしじゃないですよ?」 「ブッ!!」 文香と話していたのは、若い男の店員だった。 俺は、ヤキモチ焼くよりも、店員と噛み合わない文香の天然ボケっぷりに、思わず吹き出した。 「あれ?将さん」 「クックックッ…文香、鈍感すぎ」 「へ?」 「じ、じゃ、僕はこれで…」 文香と話していた店員は、俺を見るなり、そそくさと仕事に戻って行った。 「あたし、まだ全部、探し出してないですよ?」 「さっきの店員と何話してたの?」 「ああ。見たい作品の場所がわからなくて、店員さんに教えて貰ってたんです。 あの店員さん、あたしと同じ映画が好きだったんですよー」 「ふーん…」 やっぱり気付いてないな… それとなくナンパされかけてたの ・
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