甘い一週間

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あれはナンパだと危機感を煽って用心させるべきか。 それとも、ずっと気付かせないまま、天然ボケでスルーさせるか。 「うーん…悩むなぁ」 変に男を意識させるのも嫌なんだよなぁ 「あたしも、あと1本悩み中です」 「ブッ!」 「な、何で笑うの!?」 俺の独り言を勘違いした文香。 こりゃ、やっぱり念を押しとこう 「文香…さっきの店員、文香を誘おうとしてたんだよ。気をつけないと」 「まっさか~!心配しすぎです!」 「はぁー…やっぱり。忠告しても無駄か。ホントに無自覚だなぁ」 「何が?」 本人に自覚させるより、俺が張り付いて、害虫を排除するほうが、とりあえず手っ取り早いな… 文香の容姿コンプレックスは、小さな頃から母親に植え付けられたものだから、とても根深い。 すべてはこれから…根気よく、彼女の心の傷に寄り添っていこう 「俺もあと1本が決まらないんだ。 最後の1本は、一緒に選ぼう?」 「はい!」 弾けるように笑った文香。 それから、俺達は仲良く最後の1本を選び、レンタルショップを後にした。 【本日の教訓:文香の無自覚に細心の注意を払うべし】 ・
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