甘い一週間

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「あの…こんなこと言ったら、また無神経なことかもしれないんですけど…」 「ん?何?」 文香は、ちょっと躊躇いつつも話し出す。 「あたしは…逆なんです」 「逆?」 「はい。あたし…本当の父との写真がなくって…だから、写真に飢えてるっていうか…」 「一枚も!?」 「はぁ… お母さんが全部棄てちゃって… 自分自身の写真も少なくって…」 文香が淋しそうに笑う。 亡くなった父親似だからと、母親に疎まれて育ってきた文香。 きっと、母親が敢えて文香の写真を撮ってくれなかったんだろう。 「だから、写真って、その時の幸せな場面を切り取って残してるような気がして、人の写真とか羨ましかったんですけど… 将さんのお話聞いたら、そうとも限らないかなぁって。 やっぱり…人生いろいろですね」 人生いろいろ……確かに。 以前、文香とそれぞれの身の上話をした時にも『人生いろいろ』と話した。 写真一つでも、こんなふうに、人生への影響がそれぞれ違う。 だけど… ・
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