甘い香り【Ⅰ】

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俺が頭の中でごちゃごちゃ考えていると、智紀が新歓コンパのスタートの挨拶をした。 乾杯の合図で、本格的な飲み会の雰囲気になる。 彼女のほうをチラッと見ると、橋本と話しながら、ちょっとふて腐れている。 サークルが初めてで、所在無いって感じかな? あ!そういえば… 彼女の名前を知らないな 「ねぇ、君、初めて見るんだけど…」 小林が他の奴と話し出した隙に、俺は彼女の名前が知りたくて話し掛けた。 「え?え?え!?えっと…えー…」 「ぶッ!『え』ばっか…クックック」 突然話し掛けられ、アタフタする彼女が、なんとも面白い。頬を赤く染め、慌てまくっている。 そして、俺は彼女と初めて真正面で向き合った。 真っ赤な顔に涙目で、プクッとした唇をポカンと半開きして、彼女は俺を見てる。 可愛いなぁ… 自然とそう思った。 ・
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