甘い青春と旅立ち【Ⅰ】

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大学の中庭のベンチに座り、夏の入道雲からイワシ雲が似合うようになってきた秋空をぼんやりと眺める。 ま、温暖化で、まだまだ暑かったりするんだけどね。 俺は最近、珍しくいろいろと悩んでいる。 俺の悩みの種は、もちろん可愛い文香のこと。 ていうか、俺が悩むのは彼女のこと以外にはない。彼女以外のことは、正直どうでもいい。 俺は大学4年の21歳。 文香は短大2年で、夏休みに誕生日を迎え、20歳になった。 俺達の交際も1年以上が過ぎ、相変わらず順調だ。 そして、今、10月中旬。 あと5ヶ月ほどで、このまま行けば、二人とも卒業する。 だから、最近は就活と卒業課題に追われ、二人とも忙しく、なかなかゆっくり過ごせない 「はぁー…大丈夫かなぁ…」 俺はイワシ雲の空に、独り言を吐き出す。 目下の悩みは就職先だ。 俺ではなく、文香の。 ・
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