甘い香り【Ⅰ】

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なかなか名前を教えてくれない、恥ずかしがり屋の彼女。 「俺、崎村 将。 北南大経済学部の3年。このサークルの副部長」 焦れったくて、俺は先に自己紹介した。 そして、彼女の手の甲に貼ってあったピンク色のうさぎ模様の絆創膏に気付く。 真っ赤な涙目に、小動物みたいにおどおどしている様が、うさぎにピッタリだ。 「よろしく………うさぎちゃん?」 「えと、うさぎって…?」 唐突にうさぎと呼ばれて、首を傾げる彼女。 フフッ…やっぱり、うさぎみたい。 俺はうさぎちゃんの右の手の甲の絆創膏を指で軽く触る。 すると、うさぎちゃんは予想以上にビックリしたから、俺もビックリ。 「クックック… そんなにびっくりしなくても… ほら、うさぎの絆創膏つけてるから…だからね? 自己紹介してくれないから…」 そう…俺は君の名前が知りたい。 ・
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