甘い香り【Ⅰ】

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すると… 「あ、あの…えと、あたしの名ま…」 彼女がやっと話し出そうとした。 「ちょっと待って!」 「へ?」 俺は、せっかく自己紹介しようとした彼女を止めた。 アタフタする彼女に、なんだか意地悪したくなったからだ。 よし! 初めてのサークル参加だから、皆の前で自己紹介して貰おう。 「おーい!智紀ー! 部長の藤沢智紀ー! 今日初めて来たピチピチの新入部員がいるから、皆の前で自己紹介!」 彼女は、突然な俺の意地悪な仕打ちに、驚いて固まっている。 そして、橋本に促され、彼女はその場に怖ず怖ずと立った。 橋本の奴も便乗して、とことん面白がってるな… しかし、俺も緊張する彼女の姿につい笑ってしまう。すると、彼女がチラリと俺を睨んだ。 いけない…いけない… 俺は笑いたいのを我慢する。 ・
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