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「早くしてくださーい」
「もう!小林君、しつこい!
待ってってばッ!」
急かす小林に文香は口を尖らせつつ、俺の腕から抜け出て、うさ耳のヘッドドレスを鏡の前でつけている。
ドンドンドンドン!
小林のドアを叩く音が耳に障る。
「頭来た…」
「ん?何?将さん?」
俺のジレンマは最高潮だ。
休憩と言っても、何度も着替えに時間が取られ、まともに文香と二人きりになれない。
文香のステージ上の段取りは台本が決まっていて、俺は文香の傍にいるだけ。
結局、時間に追われ、自由もない。
何が人前でいちゃつけるだ!
これなら昨年のほうがまだマシだ!
どいつもこいつも、所詮、俺と文香の邪魔でしかない。煩わしい。
つまりは…
文香を独り占めしたい!
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