甘い青春と旅立ち【Ⅱ】

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「早くしてくださーい」 「もう!小林君、しつこい! 待ってってばッ!」 急かす小林に文香は口を尖らせつつ、俺の腕から抜け出て、うさ耳のヘッドドレスを鏡の前でつけている。 ドンドンドンドン! 小林のドアを叩く音が耳に障る。 「頭来た…」 「ん?何?将さん?」 俺のジレンマは最高潮だ。 休憩と言っても、何度も着替えに時間が取られ、まともに文香と二人きりになれない。 文香のステージ上の段取りは台本が決まっていて、俺は文香の傍にいるだけ。 結局、時間に追われ、自由もない。 何が人前でいちゃつけるだ! これなら昨年のほうがまだマシだ! どいつもこいつも、所詮、俺と文香の邪魔でしかない。煩わしい。 つまりは… 文香を独り占めしたい! ・
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