甘い青春と旅立ち【Ⅱ】

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「さて、と…」 文香は、よいしょとおばさんくさい言葉で立ち上がり、扉の方へ向かう。 「ふーみか!」 「はい?」 俺が呼びかけたため、文香はカギに手をかけたまま、振り返る。 俺は近寄り、後ろから文香の手に自分の手を重ねて 「将さん?」 「家に帰っても、うさ耳メイドで、よ・ろ・し・く!」 「~~ッ!!」 わざと文香の耳元で囁いた。 フフッ…文香、耳も弱いもんね~ 耳を押さえて振り返り、口をパクパク金魚状態の文香に、俺はにこやかに微笑み、扉のカギを開けた。 「はぁー!やーっと、出て来た! 崎村さん、早く早く! 皆、待ってますから!」 小林から安堵の表情で迎えられたと思ったら、すぐに出店のほうへ促された。 「ちょっ!待っ!将さん! あ、あたし、出店以外でメイドになりませんよ!」 「あ~!今夜が楽しみ!楽しみ! 頑張って働こう!」 「し、将さん!!」 真っ赤な顔した涙目の文香。 あ~!やっぱり、この可愛い文香が俺のツボ! 俺は文香の抗議の声をスルーして手を繋ぎ、上機嫌でブンブン手を振って、出店へと戻ったのだった。 ・
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