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「さて、と…」
文香は、よいしょとおばさんくさい言葉で立ち上がり、扉の方へ向かう。
「ふーみか!」
「はい?」
俺が呼びかけたため、文香はカギに手をかけたまま、振り返る。
俺は近寄り、後ろから文香の手に自分の手を重ねて
「将さん?」
「家に帰っても、うさ耳メイドで、よ・ろ・し・く!」
「~~ッ!!」
わざと文香の耳元で囁いた。
フフッ…文香、耳も弱いもんね~
耳を押さえて振り返り、口をパクパク金魚状態の文香に、俺はにこやかに微笑み、扉のカギを開けた。
「はぁー!やーっと、出て来た!
崎村さん、早く早く!
皆、待ってますから!」
小林から安堵の表情で迎えられたと思ったら、すぐに出店のほうへ促された。
「ちょっ!待っ!将さん!
あ、あたし、出店以外でメイドになりませんよ!」
「あ~!今夜が楽しみ!楽しみ!
頑張って働こう!」
「し、将さん!!」
真っ赤な顔した涙目の文香。
あ~!やっぱり、この可愛い文香が俺のツボ!
俺は文香の抗議の声をスルーして手を繋ぎ、上機嫌でブンブン手を振って、出店へと戻ったのだった。
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