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「あたし…今もし、誰かに占って貰ったら…きっと、コスプレの難の相が出てると思う…」
げんなりした表情で、文香がボソボソとぼやいた。
「……俺も、かもね」
「「はぁーーッ…」」
ガックリ…と、漫画の擬音が見事にハマるような、俺と文香の肩の落ちよう。
文香がコスプレの難とぼやくのも仕方ない。
サークルの出店で、袴とえんび服(文香は巫女とメイド)のコスプレを何度もさせられというのに…
今は、俺はスパンコールだらけの王子衣装で、文香はレースひらひらのお姫様衣装なんだから
ゴンドラに中世ヨーロッパ風衣装
バブル時代の結婚式か!!
…という心の中でのツッコミが甚だ空しい……
恥さらしという名の地獄に身を置き、今すぐに逃げ出したい思いでいっぱいだ。
俺の隣で俯いている文香も、きっと同じ気持ちだろう。
「…あぁ、お家に帰りたい」
「俺も…」
「「はぁーーッ…」」
またも二人同時に溜息をつく。
何で俺達って、こうも周りがほっといてくれないのか…
普通、こんなに邪魔が入るカップルっているか!?
俺はただ、文香と二人でゆっくり過ごしたいだけなんだ!
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