甘い香り【Ⅰ】

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ここは、とある居酒屋。 ガヤガヤと人の声が騒がしい。 今日は、俺が所属する大学のサークルの新歓コンパだ。 俺は大学入学早々、高校の時の先輩の強制で、全く興味ない美術部に、腐れ縁の智紀(トモキ)と入部する羽目になった。 要は客寄せパンダだ。 先輩は、俺や智紀が入部すれば、女子部員の人数が増えると見込んだんだろう。 同じ理由で、三回生となった今、智紀が部長、俺が副部長を押し付けられた。 全くいい迷惑だ。 どんなに女子部員が増えようと、俺には何の興味もないのに… 「はぁー…めんどくさ…」 「あ?何がめんどくさいだ! 将(ショウ)!お前、さっきから何にもやってないだろが!」 俺の呟きに智紀が反論した。 確かに… 智紀が参加者のチェックと会費徴収をやっていて、俺は隣で頬杖ついているだけだ。 ・
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