甘い香り【Ⅰ】

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それから、橋本や智紀の茶々が入ってきたが、彼女との会話はホントに楽しい。 俺はもう、彼女への警戒をいつの間にか完全に解いていた。 彼女といると、自然と自分が素になる。笑顔になる。 だから、智紀から彼女を気に入ったのかと聞かれて、正直に『超お気に入り』だと応えた。 彼女も橋本も、もちろん周りの奴らも驚いたけど、きっと一番驚いていたのは智紀だろう。 長い付き合いの仲で、俺が女の子に、面と向かってこんなこと言ったのは初めてだったから… すると、彼女が… 「あ、あ、ありがとうございます」 照れながら、何故かお礼を言う。 「あはははは! まさかお礼を言われるとは…クックック」 それがまた可笑しくて可愛くて。 「いや、その…お世辞でも『かわいい』って、めったに言われることないので…そのー…」 「え?ホントに? うさぎちゃん、かわいいのに?」 真っ赤になりながら、目をパチパチと瞬きしている目の前の彼女が、俺は可愛くて堪らない。 ・
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