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俺は、男達の群がりへ行こうと踏み出そうとした。
しかし、「崎村君、行かないでよ~!」と囲んでいる女達から、逃がすまいとグイッと腕を引っ張られて止められた。
あー!!やっぱり、どいつもコイツも邪魔だ!!
「チッ!離せ…うっとうしい!
俺にとって、文香以外の女なんて、この世の無駄なんだよ」
俺は掴まれた腕を振り解き、低い声で冷たく突き放す。
「酷い」とか「最低」とか言っている奴もいたが、構わず歩き出す。智紀も何故かついて来る。
俺の悪態に、女達はさすがに付き纏うのを諦めたようだ。
「お前すごいな。今の台詞」
「俺の本音だし。
自分の気持ちばかり押し付けやがって、マジうざい」
「何で、こんな冷血男がモテるんだろうなぁ」
「知るかよ!
そんなことより……文香!!」
俺達はむさ苦しい男達の中へ、ズカズカと割って入って行くと
「将…さぁ…ん…」
声も絶え絶えに、げっそりした顔の袴姿の文香が、俺の方へ手を伸ばしていた。
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