甘い青春と旅立ち【Ⅲ】

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俺は咄嗟に文香の手を掴み、ひょいと抱き上げ、 「いい加減にし、ろ!!」 「キャッ!」 「「「うわーッ!」」」 身体を半転させて、足をくるりと回し蹴りのようにし、群がる男達を散らした。 その隙に、智紀も橋本を庇うように立ちはだかった。 「お前ら、少しは考えろよ! 女の子に男が大勢で迫れば、怯えるに決まってるだろ!」 「そうよ! いくらアタシでも、こんな人数、立ち向かえないっての!」 智紀が男達を窘め、橋本は智紀の後ろから文句を垂れている。 ま、明らかに橋本は怯えてないけど。 「文香、大丈夫?」 「はい…」 文香は、俺の首にしがみついたまま返事をしたものの、やはり少し顔色が悪い。 …自分の気持ちばかりを押し付けて、相手を思いやる気持ちが欠けてる奴が、何でこうも多いんだ? コイツらにしても、さっきの女達にしても、こんなことして好意を持って貰えると思ってるのか? 俺は苦々しい思いを胸に、男達に睨みを効かせたら、青い顔をして散り散りに去って行った。 ・
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