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俺は咄嗟に文香の手を掴み、ひょいと抱き上げ、
「いい加減にし、ろ!!」
「キャッ!」
「「「うわーッ!」」」
身体を半転させて、足をくるりと回し蹴りのようにし、群がる男達を散らした。
その隙に、智紀も橋本を庇うように立ちはだかった。
「お前ら、少しは考えろよ!
女の子に男が大勢で迫れば、怯えるに決まってるだろ!」
「そうよ!
いくらアタシでも、こんな人数、立ち向かえないっての!」
智紀が男達を窘め、橋本は智紀の後ろから文句を垂れている。
ま、明らかに橋本は怯えてないけど。
「文香、大丈夫?」
「はい…」
文香は、俺の首にしがみついたまま返事をしたものの、やはり少し顔色が悪い。
…自分の気持ちばかりを押し付けて、相手を思いやる気持ちが欠けてる奴が、何でこうも多いんだ?
コイツらにしても、さっきの女達にしても、こんなことして好意を持って貰えると思ってるのか?
俺は苦々しい思いを胸に、男達に睨みを効かせたら、青い顔をして散り散りに去って行った。
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