甘い青春と旅立ち【Ⅲ】

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俺は、文香をお姫様抱っこしたまま、サークルのメンバーが集まっている場所へ移動した。もちろん智紀と橋本も。 「ふーちゃん、大丈夫?」 佐々木が心配そうに文香に声を掛けてきた。 「もう大丈夫です。 将さん、降ろして貰えますか?」 俺は傍にあったベンチへ、ゆっくりと文香を降ろす。 「文香、ホントに大丈夫?」 「うん。着慣れない着物で立ち往生したから、ちょっと苦しくなっちゃって… 千夏、ごめんね? あたし、助けてあげられなくて」 「は?」 「千夏って、やっぱりモテるね。 最後だから、あんなに男の子達に言い寄られるなんて…」 「いやいやいや! あんたのほうが明らかに言い寄られてたじゃん!」 「え?何言ってんの? 皆、千夏に言えなくて、あたしにお願いしてただけでしょ?」 「「「………」」」 余りの天然ぶりに、橋本はもちろん、俺も智紀も佐々木も呆れて言葉が出ない。 その場にいたサークルメンバー全員も、きっと呆れていたことだろう。 どんだけ恐ろしい程鈍感なんだ? ・
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