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俺は、文香をお姫様抱っこしたまま、サークルのメンバーが集まっている場所へ移動した。もちろん智紀と橋本も。
「ふーちゃん、大丈夫?」
佐々木が心配そうに文香に声を掛けてきた。
「もう大丈夫です。
将さん、降ろして貰えますか?」
俺は傍にあったベンチへ、ゆっくりと文香を降ろす。
「文香、ホントに大丈夫?」
「うん。着慣れない着物で立ち往生したから、ちょっと苦しくなっちゃって…
千夏、ごめんね?
あたし、助けてあげられなくて」
「は?」
「千夏って、やっぱりモテるね。
最後だから、あんなに男の子達に言い寄られるなんて…」
「いやいやいや!
あんたのほうが明らかに言い寄られてたじゃん!」
「え?何言ってんの?
皆、千夏に言えなくて、あたしにお願いしてただけでしょ?」
「「「………」」」
余りの天然ぶりに、橋本はもちろん、俺も智紀も佐々木も呆れて言葉が出ない。
その場にいたサークルメンバー全員も、きっと呆れていたことだろう。
どんだけ恐ろしい程鈍感なんだ?
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