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文香と手を繋ぎ、ゆっくりした歩調で、部室へと向かっていく。
いろんな思い出を噛み締めながら…
大学の最初の二年間は、ただ淡々とこの大学に通うだけだった。
寄って来る女達を無表情で冷たく遇って。
ともかく女達の身に覚えのない恋愛のいざこざに巻き込まれるのだけは裂けたかったからだ。
女という自分勝手で感情的な生き物にウンザリしていたのだ。
それが文香に出会って一変した。
こんなに可愛い生き物がいるのかと、毎日骨抜きだ。
この大学にも、あちらこちらに、文香との思い出が散らばっている。
中庭で一緒にランチをして、パンを頬張る文香
襲われそうになって、震えて泣きながら、俺にしがみついた文香
ミスコンの舞台で俺のお嫁さん発言に卒倒した文香
俺に大好きだと笑いかける文香
泣いたり、笑ったり、いろんな表情の文香の傍にいた。
文香も俺と同じ思いなのだろうか…
無言で周りを見渡しながら、ゆっくりと歩いている。
俺達の甘い青春が詰まった場所
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