甘い青春と旅立ち【Ⅲ】

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そして、俺は部室のドアを開け、文香を導き入れて、俺も中へ入る。 誰にも邪魔をされたくないので、念のため、こっそり鍵をかけた。 そう…学生最後の二人の空間を邪魔されたくない。 この部室は、俺達にとって一番思い出深いから… ここは… 文香と二度目に会った場所 俺が文香への想いを自覚した場所 文香と初めてキスした場所 文香が過去の傷を乗り越えた場所 「フフッ…初めてここに来た時のこと思い出すな…」 文香が、あの時、俺が座っていた場所へと行き、愛おしそうに優しく机をなぞる。 「うん…そだね」 「場所がわからなくて、遅刻して焦るし…将さんとの会話は噛み合わないし…フフフッ」 「え?そうだったかな?」 「そうですよ! だから、訳も解らず、突然キスされて戸惑って… 将さんが何考えているのか、全然わからなくて不安で…」 そっか…そうだよね あの時、あの強い感情と衝動の正体が、『好き』という感情のものだと知らず、気持ちを口に出せなかった。 ・
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