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『一生』
今、そう言ったよね?
きっと、文香は意識せずに、その言葉を発したと思うけど…
文香の中でも、俺との未来が描かれていると思っていいよね?
「文香、そろそろ帰ろっか」
「はい!」
俺が手を差し出すと、文香がその手を握り返す。
二度目に会ったあの時、文香は俺に怯えて逃げるように、ここから一人で出て行った。
でも、今では二人手を繋ぎ、ここを後にする。
甘い甘い青春は、ここを去れば、終わりを告げる。
しかし、ここを一歩踏み出せば、俺と文香の未来への新たな旅立ちだ。
文香…俺はこれからも…
甘い愛の言葉を
がんじがらめの束縛を
悪魔のような賢さを
オオカミのような欲望を
すべて、文香に捧げるよ
文香が一生、俺のものになるなら
俺は扉を開け、二人で手を繋いだまま、部室から出た。
そして、自然と二人で微笑み合い、同時に一歩を踏み出した。
さあ、これからだ
また、新たな二人の時間を積み重ねて行こう
そして、これからも
ずっと二人、手を繋いだままで…
† end † 2011.12.22
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