甘い香り【Ⅰ】

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「文香の名前の由来は、ひょっとして、7月の旧暦の『文月』からとった? 出身地が県外ということは、今、一人暮らししてる? A型だから、周りのことが気になって、サークルが不安?…ってとこかな。」 俺が、文香の答えから導き出した分析結果を一気に話すと、彼女は呆然としている。 「…ほぼ当たってるみたいかな?」 「なんか、ずるいです…」 彼女は口を尖らせて、臍を曲げている。拗ねてる彼女も可愛い。 すると、彼女の目線が、ふと俺から逸れた。 「ほら、崎村さん。皆さん、移動してますよ。 行かなくていいんですか?」 「そだね」 彼女の言う通り、サークルのメンバーが二次会へと移動し始めた。確かに俺も行かないといけない。 …時間が無いな だけど、このまま彼女がサークルに来なくなったら、また会うのは難しくなってくる。 さて…どうしたものか… 俺は彼女を見つめながら考える。 ・
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