甘い香り【Ⅰ】

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「サークル辞めたら、お仕置きだよ」 俺はわざと彼女の耳元で囁いた。 お人よしな彼女の性格に付け込もう。無理強いでも何でも、彼女との繋がりさえ掴めればいい。 俺は確かめたいんだ この衝動の理由を この感情の正体を 「明日、学内にあるうちの部室においで」 「や…やめてくだ…」 耳元で囁き続けると、彼女が俺の胸を押し、抵抗を示す。 彼女の顔を見ると、顔を真っ赤にして、目をギュッと閉じている。 耳…弱いんだな…フフッ 「朝9時に部室」 「やッ…」 彼女が涙目で拒否する声が、余計に俺を煽る。 だから、また耳元へ囁き続ける。 「文香に拒否権はないよ。 解放されたかったら、『はい』しかないよ」 彼女をもっともっと虐めたい 彼女を今すぐ抱きしめたい その衝動を我慢出来なくなるから、早くイエスの返事をして… 「ほら『はい』は?」 「は、はい!」 色白の肌に、赤い頬と赤い唇がくっきりと映えて、触りたくなる。 彼女とキスしたい 俺の本能が彼女を欲している。 ・
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