甘い香り【Ⅰ】

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二次会に移動している奴らの中から、あのウザい垣内が、俺が見当たらないとギャーギャー言い始めた。 まだまだ彼女といたかっけど、もうタイムリミットだ。 「チッ!…仕方ない。行くとするか あ、そーだ。 明日の約束のことは誰にも内緒。橋本にも言ったらダメだよ。 わかった?」 明日は、彼女と二人きり、誰にも邪魔されたくない。 彼女は、まだぼんやりしながらもコクンと素直に頷いた。 意地悪しすぎちゃったかな? 「じゃあ、気をつけて帰るんだよ」 俺はもう一度だけでも彼女に触りたくて、去り際に彼女の頭を撫でた。 フフッ…髪の毛まで柔らかいや 彼女の新たな発見を見つける度、俺の心が踊る。 後ろ髪を引かれる… まさに今の俺にピッタリな慣用句だな 俺は本当に後ろ髪を引かれる思いで、彼女から離れた。 ・
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