甘い香り【Ⅰ】

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「崎村さん! 文香、知りませんか?」 店の玄関先を少し過ぎた所で、橋本に尋ねられた。 「ああ… 彼女なら、あそこら辺にいたよ」 俺はさっきまで彼女といた場所を指差す。 「ふーん…崎村さん、文香に何もしてませんよね?」 橋本は目を細めて、訝しいそうに俺を睨む。 「俺は、酔ってる子に手は出さないよ」 「あれ~?文香、そんなに酔ってなかったと思うけど… 酔いが回るようなことがあったりして?」 コイツ…ホントにやな奴だな 「さあ?身に覚えはないけど?」 俺は表情一つ変えずに嘘をつく。 ポーカーフェイスは、ガキの頃から得意だ。 「ま、いいや。 じゃ、あたし、文香と帰ります」 「お疲れ…」 橋本は含み笑いをして、彼女の元へ向かった。 橋本って、俺の女版みたいで、つくづく気持ち悪い… ・
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