甘い香り【Ⅰ】

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智紀は、俺の生返事に愛想を尽かし、後輩に呼ばれて、そちらのほうに耳を傾けていった。 俺はまた一人考える。 『女に興味を抱くなんて、アイツ以来』 『お前のタイプじゃない』 智紀のいう通りだ。 アイツとは…俺にとって、初めてまともに出来た女友達の奈緒(ナオ) 女で気の合う奴に出会ったのは初めてだった。 だから、あいつのことが好きなのかも?と考えたこともあったけど……やはり違った。 奈緒を女という特別なフィルターで見ることはなかった。 今まで付き合ってきた女も、告られた中から、外見が自分の好みのタイプを選んだ。 大人っぽくて、キレイ系の落ち着いた女ばかりだ。 自分の周りで騒がれるのは、欝陶しいからだ。 じゃあ、彼女は? 今までの、俺の好みのタイプには程遠い。 ・
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