甘い香り【Ⅱ】

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俺は昨日呑んだというのに、朝早く起きた。 …というか、彼女のことをばかり考えていて、なかなか寝付けず、うたた寝しただけだと言ったほうが正しい。 「何やってんだ…俺は…」 俺は、自分自身の有様に呆れ返り、独り言を吐き出す。 しかし、結局、家に居ても落ち着かないから、部室に約束の30分前にはやって来てしまった。 俺は遠足前のガキかよ… 彼女を待っている時間が凄く長く感じる。待ち遠しくてならない。 今日、彼女は来てくれるかな? 不意に不安になる。 約束と言っても、俺の無理強いだったからなぁ… そんなことをグタグタ考えながら、彼女が来てくれることを願う。 しかし、約束の時間になっても、彼女はやって来ない。 「はぁー…ダメだったかなぁ…」 俺は大きな溜息をついて、机に突っ伏した。 ・
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