甘い香り【Ⅱ】

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深いキスを繰り返しながら、彼女の頬に手を添えると、涙に気がついた。 俺はゆっくりと唇を離す。 「……泣かしちゃったね」 キスに夢中で、泣いているなんて、全然気が付かなかった… 彼女の頬にキスをする。 「涙はしょっぱいね…残念…クスッ」 彼女は、上気したような顔で目を潤ませ、ぼんやりと俺を見上げている。 だから、そんな顔してたら、またキスしたくなるんだけど… 「無意識なんだろーなぁ…」 「?…何がですか?」 「いや。 今日はここまでくらいにしとかないと…って、今、自分を戒めてるところ」 これ以上キスしてたら、理性なんか吹っ飛びそうだしね。 あー… それに、彼女が泣くまで夢中でキスしちゃって… 俺のことどう思ってるかな? 嫌われたりしたら嫌だな… 彼女の甘い香りに包まれながら、なんとも情けないことを考える。 でも、俺に素直に抱かれていて抵抗ないのは、少しは受け入れられてる? 彼女を抱きしめたまま、俺の頭の中は右往左往。 ・
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