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今、いろいろ考えても埒外があかないから、俺はとりあえず甘い香りの正体を知りたくて、彼女に尋ねてみる。
「ねぇ…文香って、何か香水とか使ってる?」
「いいえ。私、匂いに敏感で…
香水つけると、自分自身の匂いに酔うからつけれないんです」
「そうなんだ。俺だけ…かなぁ?
文香の匂いがわかるの」
「え?私、何か臭うんですか!?」
彼女は驚いて、自分の腕をクンクンと嗅ぎ出した。
「あはは!違う違う!
うーん、何て言ったらいいのかな?文香のフェロモン?」
「フェロモン!?」
「うん。甘い香りがする」
彼女は、まだ自分の匂いを必死で嗅いでいる。その眉間に皺を寄せた表情が面白い。
彼女自身はわかんないのか…
「フフッ…俺、犬みたい?」
「うーん…
どちらかというとオオカミ?」
彼女ははにかみ、首を傾げる。
彼女の柔らかい笑顔につられて、自然と俺も笑顔になる。
「なるほど…うまいこと言うな。
目の前の獲物は逃がさないからね
狙われてるの自覚してる?
うさぎちゃん?」
「え?」
チュッ!
可愛い彼女の笑顔に、また我慢出来なくなって、つい軽くキスをした。
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