甘い香り【Ⅱ】

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俺は気持ちを逸らそうと、適当なことを言って、彼女と携番とメアドを交換した。 住んでいる所も知りたくて、それとなく誘導質問すると、どこら辺に住んでいるのか、素直に教えてくれた。 おいおい… こんなに簡単に男に教えちゃって…大丈夫なのか? 「ねぇ、サークルで文香の家知ってるの、橋本だけ?」 「そーですね。千夏だけです。 だって、あたし、昨日サークルに入ったばかりで… 崎村さんと藤沢さん以外と喋ってもいませんもん。あはは!」 こりゃまた、危機感がないというか何というか… 「はぁ…… やっぱり自覚してないなぁ」 「何がですか?」 素直な性格が、また誰かの誘導に引っ掛かりそうで、危なっかしい 「狙われてるって自覚。 そんな容易に男に住んでる所を教えちゃダメだよ」 「ていうか、崎村さんが聞き出したんじゃないですか!?」 「だから、俺はいいの。 他の奴の手には乗らないでね」 いちおー、釘刺したけど、少しは効き目あるかな? 俺の忠告が彼女の頭の中に入るよう願って、ちょっとふて腐れる彼女の頭をポンポンと叩く。 他の奴に獲物を掻っ攫われたら、たまらないからね。 ・
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