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「さ、崎村さん!」
彼女が顔だけ振り返って、赤面して怒っているけれど、俺にとっては逆効果。
でも、これ以上盛ると、ホントに嫌われちゃうな…
「お楽しみは次に取っておかないとね…」
俺は、名残惜しいけれど、彼女からゆっくり離れた。
すると、彼女は慌てて逃げるようにドアへと向かう。
ちょっと傷つくな。
嫌われちゃったかな…
彼女がドアを開けた時、一瞬だけ、こちらに振り返った。
外から入り込んだ風で、彼女の髪が靡く。
そして、彼女は怯えてるような潤んだ目で、俺を真っ直ぐに見つめた。
綺麗だ…
彼女は、少女のようで大人のような…儚げで不思議な色気を漂わせていた。
文香が欲しい
誰にも渡したくない
強くそう思った。
彼女が出て行く後ろ姿を見送りながら、もう一度思う。
文香のすべてを俺のものにしたい
俺が今まで感じたことがない、強い欲求だった。
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