甘い香り【Ⅱ】

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「さ、崎村さん!」 彼女が顔だけ振り返って、赤面して怒っているけれど、俺にとっては逆効果。 でも、これ以上盛ると、ホントに嫌われちゃうな… 「お楽しみは次に取っておかないとね…」 俺は、名残惜しいけれど、彼女からゆっくり離れた。 すると、彼女は慌てて逃げるようにドアへと向かう。 ちょっと傷つくな。 嫌われちゃったかな… 彼女がドアを開けた時、一瞬だけ、こちらに振り返った。 外から入り込んだ風で、彼女の髪が靡く。 そして、彼女は怯えてるような潤んだ目で、俺を真っ直ぐに見つめた。 綺麗だ… 彼女は、少女のようで大人のような…儚げで不思議な色気を漂わせていた。 文香が欲しい 誰にも渡したくない 強くそう思った。 彼女が出て行く後ろ姿を見送りながら、もう一度思う。 文香のすべてを俺のものにしたい 俺が今まで感じたことがない、強い欲求だった。 ・
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