甘い香り【Ⅱ】

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「お!ちょうどアイツらが来た! おーい!こっちこっち!」 智紀が声をかけている方向を見ると、河島と武ちゃんがトレーにランチを乗せて、近付いて来た。 河島と武ちゃんは、大学に入ってから、ウマが合った奴らだ。 たまたま取っている講座が一緒なのが多く、顔を合わせると自然と話すようになった。今では4人で同じゼミに入っている。 「あれ? 早目にランチしてたんだね?」 「俺ら、今日は午後からだからさ」 武ちゃんの質問に、智紀が明るく応えた。 「崎村は食べてないの?」 「…う~ん、余り食欲なくてね」 河島の質問に、俺は苦笑いで応える。 すると、智紀が 「あー!コイツ、今、恋患い中だから!アハハ!」 「「えぇ!?」」 ガコッ! 「ッてー!!」 俺は至らんことを言ったアホの脇腹に、一発、拳を入れた。 「おまッ!空手黒帯が素人に手ぇ出すなよ!」 「チッ!お前が茶化すからだろ」 人のことを面白がりやがって! ・
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