甘い香り【Ⅲ】

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「おー来た来た! 橋本~こっちこっち!」 智紀がゾロゾロと店内に入って来た女性陣に、大声で呼びかけた。 俺は、すぐに彼女が居るかどうかを確認する。 いた! 彼女は、女性陣の一番後ろから、俯き加減でトコトコ近付いて来る。 俺は彼女が来てくれたことに、ホッと安堵する。 おざなりの挨拶を済ませ、女性陣が男性陣の向かいの席に、順に着席していった。 橋本の機転で、彼女は俺の真向かいに座る。 「こんばんは。うさぎちゃん」 「こ…こんばんは」 ペコッと軽くお辞儀した彼女は、すでに頬が赤い。 「何、飲む?」 「えっと、じゃ、ピーチサワーで…」 「クスッ…はい。了解」 彼女が甘い飲み物を頼んだので、甘い香りの彼女の原因は、甘い物好きだからかも?なんて考える。 彼女は顔を真っ赤にさせて俯きながら、チラチラと俺を伺っていた。 一昨日のキスのことがあるから、恥ずかしいんだろうなぁ… ・
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