甘い香り【Ⅲ】

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それからしばらくは、それぞれの昔話などで盛り上がった。 俺も、むやみに近寄ってくる女はいないし、文香は絶えず笑っているし、久々楽しい飲み会だ。 そして、場が盛り上がる中、文香が化粧室へ中座した。 すると、 「なぁ!席替えしないか?」 智紀が突然提案してきた。 「そうですね。男女向かい合ったままってのもね」 「男女交互に座るってのが、やっぱコンパらしいコンパでしょ?」 「そうよね!文香が言ったんだもんね」 「崎村のためにもね?」 「じゃ、早速、席替え!席替え!」 俺が一言も発することがないまま、六人でさくさくと席替えを決めてしまった。 六人は席を立ち、適当に男女交互に座り直す。 もちろん、俺の隣の席は空席。 彼女待ちだ。 文香、やっぱビックリするかな? 彼女の驚く顔が目に浮かぶ。 ・
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