甘い香り【Ⅲ】

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戻って来た彼女は、俺の予想通りの顔をして、立ち尽くした。 「…コンパらしいコンパだと、男女交互に席をシャッフルだって」 ポカンと口を開けている彼女に、ポンポンと隣の席を叩いて、座るように催促する。 彼女は怖ず怖ずと俺の隣に座った。 「何?俺の隣じゃご不満?」 「そんなことはないですけど… 私に選択権はないのかなぁって」 それって… 他の奴の隣がよかったってこと? 「ないよ。俺がいる限り」 俺の語気が、つい強くなってしまった。 「…怒ってるの?」 彼女が、俺の顔を伺うように小さな声で尋ねてくる。 「…違うよ。嫌なんだ」 「え?」 「文香の隣に… 俺以外の奴なんて嫌だ」 本当に嫌だ。 文香の傍に他の奴が…と考えるだけで堪らない。 少しでも俺のこの気持ちが彼女に伝わってほしいと、彼女を真っ直ぐ見つめる。 ・
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