甘い香り【Ⅲ】

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俺なら、彼女の過去の殻をこじ開けてもいい…って、一体どういうことなんだろう? それだけ彼女が過去に囚われて、傷ついてるってことか? 今まで人の過去なんか全く興味がなかったけど、彼女のこととなると、気になる。凄く気になる。 あんな思わせぶりな言葉を言い残した橋本に、恨み言の一つでも言えば良かったとちょっと悔やむ。 とりあえず、俺に彼女を託したということは、彼女のボディーガードのお目に叶ったということか? あー…頭の中がぐるぐるぐるぐる 俺も酔いが回ってきたかな? 自販機の横を見ると、彼女は膝を抱えて、頭を埋めている。 橋本が引き返し来て、俺と話したことも気付いていない。 今、俺を悩ます彼女は、完璧な酔っ払いだ。 そして、今、俺のやるべきことは、この酔っ払いのお姫様を、無事、家へ送り届けることだ。 いろいろ考えていても、埒外があかない。 まずは、今やるべきことをやろう ・
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