甘い香り【Ⅲ】

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俺の肩に感じる彼女の柔らかな髪 ほのかに香る甘い香り 彼女のあどけない寝顔 はぁー…俺って馬鹿。失敗した… この状態って、生き地獄 無防備な彼女の誘惑と、なんとか保っている理性の板挟みだ。 文香も無防備で爆睡しちゃって、さっきの危機感はどこに行ったんだよ? ま、彼女に寝ていいと言ったのは俺だけど。 熟睡している彼女の寝顔を見ながら溜息をつき、心の中でボヤく。 「お客さん、大学が近付いてきたけど?」 運転手から話し掛けられ、俺の思考は現実に引き戻された。 俺はとりあえず、一昨日、文香から教えて貰った彼女の自宅近所のパン屋までの道のりを、運転手に教えた。 しかし、彼女の自宅自体を知っている訳ではない。知っているのは、あくまでも自宅近辺だ。 だから、彼女を無事送り届けるためには、彼女を起こさなければならない。 ・
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