甘い香り【Ⅲ】

20/40
前へ
/227ページ
次へ
俗に言うお姫様抱っこという奴で、彼女を運ぶ。 軽いな… エレベーターで、俺ん家の12階を目指しながら、彼女の身体が華奢なのを実感する。 彼女に触れる度に思うが、彼女の骨格は細い。ちょっとしたことで骨折してしまいそうだ。 ちゃんと食ってんのかな? なんて、父親みたいなことを思う ただ、そんなことを考えていないと、自分の理性が飛んでいきそうだからだ。 頑張れ、俺の理性 自分で自分を応援するなんて、何とも滑稽だ。 しかし、俺の腕の中で、すやすや寝息を立ててるお姫様を見てれば、そうせざるを得ない。 口を半開きで、ちょっとマヌケ面で眠る文香 目が覚めたら、さぞかしビックリするだろうな… そうして、爆睡のお姫様は、自分の危機的状況を把握しないまま、俺ん家の中へと運ばれた。 ・
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19385人が本棚に入れています
本棚に追加