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俺が独り言を言っても、彼女は全く起きない。お陰で俺はじっくりと彼女の寝顔を見つめることが出来る。
この唇が魔物なんだよな…
唇フェチでもないんだけど、この唇にいつも惹かれてしまう。
あー…キスしたい…
でも、キスしたら、絶対止められないだろうし。
俺は、魅惑的な彼女の唇を指でなぞった。
すると
「……ん…」
「ーッ!!」
彼女が小さい声を出し、のそりと寝返りを打ったので、ちょっと驚いた。
彼女は俺に背を向ける態勢になる
起きたかな…?
俺は立ち上がり、ベッドに手をついて、彼女の顔を覗き込んだ。
すると、またあの甘い香りが鼻を刺激する。
おっと…危ない…
一瞬、動揺して身を引いたが、改めて顔を覗き、規則的な寝息を確認する。
そして、俺は彼女の足から解かれた掛け布団を掛けようとした。
しかし、その手がピタッと止まる。
縮こまる彼女の寝姿に、不意に抱きつきたい衝動がまた起こる。
ちょっとだけ…ちょっとだけだ…
俺は心の中で言い聞かせながら、なるべく静かに横になった。
そして、後ろから彼女を抱きしめた。
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