甘い香り【Ⅲ】

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あぁーあ… 結局、誘惑に負けちゃったな… 彼女の柔らかな髪に顔を埋めて、苦笑いをする。 可愛い小さな眠り姫を腕の中で抱きしめながら、俺の中に満たされた気持ちが広がる。 抱きしめてるだけなのに、なんだか達成感があるな… 家に帰ってきてから、ずっと彼女との接触を我慢したから、触れることが出来て、何故かホッとしたというのが正直な気持ち。 ホント、俺、重症…… 彼女と出会う前と後じゃ、俺は別人のようだ。 人を好きになるって、こんなにも大変なことなんだと改めて思う。 文香、抱き心地いいなぁ… いつもは甘い香りに誘惑されるけれど、今はこの香りに包まれて、戻ってこれたような気分。 なんだか、眠たくなってきた… 俺は彼女の背中にピッタリ寄り添って、いつの間にか眠りの淵に堕ちていった。 ・
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