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ガサガサッ…
まどろむ意識の中で、何かが動く感触がする。
ん~?
まだ眠いのに…
俺の腕の中…?
あ…そか。文香か。
「…起き…た?」
俺は、寝ぼけ眼で彼女の後ろ姿に声をかける。
「…は…い」
彼女は後ろを向いたまま、掠れ声で応えた。
「あの…起きたいので、手を…」
「やだ…」
俺は寝たままずっと、彼女を後ろから抱きしめた手を緩めていなかった。
まだ、もう少しこのままでいたい
彼女を抱きしめるまで葛藤した分には、まだまだ足りない
「でも、あたし喉がかわいて…」
なるほど…よく寝てたからね
「ああ…ちょっと待ってて」
名残惜しかったが、俺はベッドから起き上がり、キッチンへ水を取りに行った。
そして、グラスに氷水を作り、また寝室へと戻ると、彼女は、ベッドの上で恥ずかしそうに座っていた。
「はい」
俺はベッドに腰掛け、サイドボードの上のスタンドライトをつけ、彼女にグラスを渡す。
「…ありがとうございます」
小さな声でお礼を言うと、彼女は水を一気にゴクゴクと飲み干した。
よっぽど喉が渇いていたんだなぁ
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