甘い香り【Ⅲ】

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------- ----- ガサガサッ… まどろむ意識の中で、何かが動く感触がする。 ん~? まだ眠いのに… 俺の腕の中…? あ…そか。文香か。 「…起き…た?」 俺は、寝ぼけ眼で彼女の後ろ姿に声をかける。 「…は…い」 彼女は後ろを向いたまま、掠れ声で応えた。 「あの…起きたいので、手を…」 「やだ…」 俺は寝たままずっと、彼女を後ろから抱きしめた手を緩めていなかった。 まだ、もう少しこのままでいたい 彼女を抱きしめるまで葛藤した分には、まだまだ足りない 「でも、あたし喉がかわいて…」 なるほど…よく寝てたからね 「ああ…ちょっと待ってて」 名残惜しかったが、俺はベッドから起き上がり、キッチンへ水を取りに行った。 そして、グラスに氷水を作り、また寝室へと戻ると、彼女は、ベッドの上で恥ずかしそうに座っていた。 「はい」 俺はベッドに腰掛け、サイドボードの上のスタンドライトをつけ、彼女にグラスを渡す。 「…ありがとうございます」 小さな声でお礼を言うと、彼女は水を一気にゴクゴクと飲み干した。 よっぽど喉が渇いていたんだなぁ ・
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