甘い香り【Ⅲ】

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「もう氷はこれだけだよ…」 「ひゃッ!冷たッ! ひどい! 冷たいじゃないですか!」 彼女は、俺の不意打ちに不満の声を上げる。 俺が、手の中にあった氷を彼女の首筋に当てたからだ。 彼女の肌を這う、あの一滴が俺の目に焼き付いて… 「フフッ…文香はエロいのに、色気ないこと言うなぁ」 「あたしはエロくなんかありません!」 顔を真っ赤にして、口を尖らせて怒っている、どこまでも無自覚なお姫様。 「そかな?」 俺は彼女の首筋に当てた氷を口に入れ、ゴリゴリと噛み砕いた。 もう、これ以上… 俺が当てた氷の雫が、また彼女の首筋から鎖骨へ滴り落ちる。 ………限界 俺は彼女を自分へと引き寄せる。 「わッ!…んんんッ!」 そして、彼女にキスをした。 彼女の頭を押さえ込み、我慢していた欲求を満たすように、彼女の唇を貪る。 「んあッ…ジャリ…はッ…」 二人の口の中で、冷たい氷と熱い舌が交錯する。 彼女の甘い香り…甘い声…甘い味 俺を翻弄し続ける甘い甘い文香 ・
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