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「さき…む…ふッ…うッ…」
文香の瞳から、次から次に涙が溢れ出す。
「クスッ…だから名前で」
「フッ…ウッ…グスッ……将さん!!」
「うさぎから飛び込んできた…フフッ」
ポロポロと泣きながら、自分から、抱き着いてきた文香。
狡い俺は、文香の心を掴むために橋本の言葉を借りたけれど
我が儘な俺は、お人よしな文香に強引に付け込んだけれど
文香が誰よりも好きだから
文香のすべてを受け止めたい
俺は大切な宝物を慈しむように、文香にその気持ちを込めて、キスをした。
すると、文香が俺の頬にそっと手を添え、潤んだ瞳で優しく微笑みながら、思いがけない言葉を放った。
「オオカミさん…召し上がれ」
「ーーッ!!」
まさか、こんな綺麗な笑顔と洒落た台詞で、俺を受け止めてくれるなんて…
どれだけ俺を翻弄するんだろう
「はぁぁ…俺、もう余裕ないや。
壊しちゃったら、ごめん」
俺は再び、文香の身体に覆いかぶさる。
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